大判例

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名古屋高等裁判所 昭和25年(う)2171号・昭25年(う)2172号 判決

書証の取調の請求並びに証拠調は原本についてこれを為す建前であることは刑事訴訟法第三百十条但書の規定の趣旨から窺えるが、しかし書証の謄本又は抄本について証拠調の請求並びに証拠調を為すことを絶対に禁止する趣旨の法文上の根拠はないのであるから書証の原本が滅失したとか其の他容易にこれを提出し難い特別の事情がある場合は、謄本又は抄本が原本と同一性を確認し得る限り謄本又は抄本自体について証拠調の請求並びに証拠調を為すことが出来るものと解することが出来る而して書証の謄本又は抄本に証拠能力があるかどうかは、其の原本に証拠能力あるかどうかによつてこれを決すべきである。原審公判調書によれば検察官より被告人の買受品が賍品であることの立証として提出した各被害者の盗難届の謄本又は抄本(一)乃至(六)について証拠調を請求したのに対し被告人等及び弁護人は右書面を証拠とすることに同意し証拠調請求に付異議はないと述べていることは明であるから書証の原本又は抄本を提出し難い特別の事情があつたものとして認め得るのみならず右各書証の謄本又は抄本を検すると原本には各被害者の署名押印あることも窺えるし又検察事務官が右は謄本又は抄本であるとして署名押印して認証しているから原本に基いて正確に作成されたものということが出来る。即ち右謄本又は抄本は何れも原本の存在と内容の同一性を認めることが出来るから其の証拠能力あるものと断じなければならない。従つて原判決は証拠能力のない証拠を採証に供した違法なく、論旨は理由がない。

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